2026年6月6日から、映画『国宝』がAmazon Prime Videoで見放題独占開始になりました!
映画『国宝』は、『悪人』『怒り』などの作者として知られている吉田修一氏によって、2018年に出版された『国宝 上 青春篇』『国宝 下 花道篇』が原作。それを李相日(リ・サンイル)監督が、吉沢亮氏・横浜流星氏主演で実写映画化しました。
2025年6月6日に公開された映画は、実写邦画の歴代興行収入1位を記録し、公開1年が経っても全国各地の劇場で上映されています。
ここからは、映画『国宝』をすでに観た人も、これから観ようとしている方も楽しめる、本作を象徴するような名セリフ・名言を紹介します!
もくじ
「逢いたさに」ヤクザの新年会で披露した『関の扉』より
徳次:ヤァ、いずくともなく見慣れぬ女。この山陰の関の戸へは、いつの間に、どこから来た。
喜久雄:撞木(しゅもく)町から来やんした。
徳次:何しに来た。
喜久雄:逢いたさに。
徳次:そりゃ誰(たれ)に。
喜久雄:アノ、こなさんに。
徳次:何、俺に。
喜久雄:色になってくださんせ。
主人公・喜久雄(黒川想矢・吉沢亮)と、後の育ての親となる花井半二郎(渡辺謙)が、長崎の宴会場らしき場で初対面するシーン。半二郎が「こんな達者な芸姑はんが長崎におりまんねんな」と言うと、両親が「せがれの喜久雄ですばい」と得意げに言います。
『積恋雪関扉(通称:関の戸)』は、雪が降り積もる関所で、関守と彼を慕う遊女を描いた演目です。関の扉自体が、珍しく長崎に雪が降る、本作冒頭のシチュエーションとリンクしています。
「堪忍ならねえ!」花井邸での稽古より
喜久雄・俊介:堪忍ならねえ!
半二郎:ふっ! チチチンチンチンチンチン…はっ!ばったり!踏み出し甘い!ゲンコ、はい、拳返して!骨で覚えるんやで?
(中略)
半二郎:なんべん言わすんや!こんなんもできんで役者なんかやれるかい!この貝殻骨や!ほれ、ここをつけるんや!もっともっと背中合わせるんや!そう、いくで、足もっと広げ、これも!こんなみみっちい動きしてたらな、背中のごっつい彫りもんが泣くで!
半二郎(渡辺謙)が、実子・俊介(越山敬達・横浜流星)と喜久雄をしごく場面。俊介に対して暴力の限りを尽くす父・半二郎。血の繋がりのない喜久雄には甘いかと思われましたが、やっぱり喜久雄に対しても容赦なくしごく渡辺謙が印象的なシーンです。
ちなみにこれは、歌舞伎三大名作と言われる『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』の三段目、「車曳(くるまびき)の段」の稽古の様子。その後は半二郎の目がなくとも、喜久雄と俊介が通学路で練習する、美しいシーンに続きます。
「何があってもあんたの血が守ってくれる」京座の楽屋より
半二郎:俊ぼん、あんた生まれたときから役者の子や。何があってもあんたの血が守ってくれる。喜久雄、あんたうちに来てもう7年や。その間、稽古を1日でも休んだことあるか?ないはずや。あんたが振り忘れても、体がちゃんと踊ってくれる。ほな行っといで。
花井東一郎(吉沢亮演じる喜久雄)と花井半弥(横浜流星演じる俊介)東半コンビが、京座で『二人道成寺』を演じる前、楽屋でのシーンです。
この先何が2人を守ってくれるのか、この映画を表すようなセリフを半二郎が口にします。その後は作中屈指の名場面。視聴者はまるで観客席にいるかのように、舞台上の2人を見守ることができます。
「…ってな感じで怒ったりしたほうが」病室から出た俊介を喜久雄が追う場面より
俊介:泥棒と一緒やないか。人んちに入り込んで大事なもん盗みくさって。この、こそ泥が。いてこましたろか?なあ。いきってんちゃうぞ!…ってな感じで怒ったりしたほうがおもろいんやろうけどな。
半二郎(渡辺謙)が事故によって入院し、喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)が病室に駆けつける場面。『曽根崎心中』お初の代役として、半二郎は実子ではなく部屋子の喜久雄を代役として指名します。
父から告げられた俊介は病室を後にし、それを喜久雄は追いかけ、ともに稽古をしたあの橋の上で口論になるかと思いきや——という場面です。
ちなみに、本作の重要な場面で登場した橋は玉手橋と言って、大阪市の南東にある柏原市にあります。近くに立ち寄った際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
画像引用:かしわらイイネット「聖地巡礼として盛り上がりそう!玉手橋が映画「国宝」のロケ地に」より
玉手橋へのアクセス
新大阪駅から御堂筋線に乗り、天王寺駅で下車。徒歩3分のところにある大阪阿部野橋駅へ。近鉄南大阪線 河内長野行に乗車し、道明寺駅で下車。石川という河川の方へ5分ほど歩くと玉手橋が見えてきます。新大阪駅から電車を乗り継いだ場合、片道およそ1時間かかります。
「死ぬる覚悟が」『曽根崎心中』より
喜久雄:その誰(たれ)やらは、きつうわしにご執心ゆえ、かねてたくんで徳様を深い所へ、はめたものなるが。証拠、なければ理も立たず。この上は徳様も、死なねばならぬ品(しな)なるが、死ぬる覚悟が聞きたい。
半二郎(渡辺謙)の代役を務めることになった喜久雄(吉沢亮)は、病院の個室で稽古を始めます。
大阪市北区曾根崎で実際に心中した、遊女・お初と醤油問屋で働く徳兵衛による事件をもとに、近松門左衛門が創作した『曽根崎心中』。
死ななければならない怖さと、惚れた男と一緒に死ねる喜びが混じっているお初の気持ちを、セリフによって伝えねばならない。それができない喜久雄に憤り、病院食の器を床にぶちまける渡辺謙が印象的です。
「俊ぼんの血コップに入れてガブガブ飲みたいわ」浪花座の楽屋より
喜久雄:幕上がる思うたら震え止まらんねん。
俊介:こっち見い。
喜久雄:怒らんで聞いてくれるか?俺な、今一番欲しいの俊ぼんの血やわ。守ってくれる血が俺にはないねん。俊ぼんの血コップに入れてガブガブ飲みたいわ。
花井半二郎の代役という重責に押しつぶされ、ひとり楽屋で震える喜久雄(吉沢亮)。そこに俊介(横浜流星)が様子を見に来て、喜久雄の手を取ります。
以前に半二郎が俊介に言っていたことを、ずっと気にしていた喜久雄。血に守られても父には選ばれなかった俊介に、これを言ってしまう複雑なシーンです。
「悪魔と取り引きしてたんや」夏祭りの場面より
綾乃:神さんにぎょうさんお願い事するんやな。
喜久雄:神様と話してたんとちゃうで。悪魔と取り引きしてたんや
綾乃:ここ悪魔いんの?
喜久雄:いてるで。
綾乃:なんの取り引きしたん?
喜久雄:“歌舞伎をもっと上手うならしてください”て頼んだわ。“日本一の歌舞伎役者にしてください”て。“その代わりほかのもんはなーんもいりませんから”て。
綾乃:悪魔はん、なんて?
喜久雄:“分かった”言わはった。取り引き成立や。
京都にいる喜久雄(吉沢亮)の愛人・藤駒(見上愛)とその隠し子・綾乃たちと夏祭りに行く場面。屋台が並んでいる道の途中に、お社がひっそりと佇んでおり、喜久雄はそこに立ち寄ります。
作中に登場する、喜久雄に関わった女性はもれなく喜久雄のせいで悲しい思いをしており、綾乃もそのひとりであったことが後に分かります。
ちなみに劇中で登場する神社は、京都市内にある光盛大明神です。京都駅からバスで向かう場合は、「千本今出川」に停車する市バスに乗車。バス停から徒歩10分ほどのところ、上七軒歌舞会の近くにあります。
「親がないのは首がないのと同じや」半二郎の自室より
半二郎:喜久雄、丹波屋継ぐあんたに1つ言っておかなならんことがあって。この世界、親がないのは首がないのと同じや言うてな。どんなにつらいことあっても、あんたは芸で勝負するんや。ホンマもんの芸は刀や鉄砲より強いねん。あんたはあんたの芸でいつか敵取ったるんや、ええな?
「半二郎」の名を喜久雄(吉沢亮)に襲名させることに決めた二代目・半二郎(渡辺謙)。
丹波屋の血が入っていない喜久雄には、これからきっと血が入っていないことが理由でつらいことがあるかもしれない。刀や鉄砲で敵討ちをしようとした喜久雄に、お前はそれ以上の武器をすでに手にしているのだと伝えようとしています。
しかしそれからすぐに喜久雄は、半二郎襲名披露公演で、自分に丹波屋の血が入っていないことでショックを受けてしまうのです。
「どこ見てんの?」屋上の場面より
彰子:もうやめよう。
喜久雄:ハッ…
彰子:どこ見てんの?
大物歌舞伎役者である吾妻千五郎(中村鴈治郎)の娘・彰子(森七菜)と駆け落ちし、地方をドサ回りをすることになった喜久雄(吉沢亮)。
酔っぱらいに絡まれ、化粧や衣服が乱れ、自身も酒を飲んでシラフではなくなっても、それでも舞ってしまう喜久雄を、彰子は止めようとします。
自分と喜久雄は同じ気持ちだと思っていた彰子が、ようやく気づいた場面です。喜久雄は始めから彰子のことなど眼中にはなく、もはや何を見据えているのかも自分では分からなくなっていました。
ちなみに、喜久雄と彰子が立っていたのは、和歌山県岩出市にある、ホテルいとうの屋上です。屋上には上がれないようですが、ホテル内にあるレストランからも、喜久雄たちが見た景色を見れるようです。
画像引用:和歌山県公式観光サイト「大ヒット上映中!!映画『国宝』和歌山 ロケ地情報」より
新大阪駅から「ホテルいとう」へ
電車とバスを乗り継いで、最寄りのバス停まで約1時間40分かかります。新大阪駅から特急くろしお 白浜行に乗車し、和泉砂川駅へ。砂川駅前のバス停から岩出樽井線(和歌山バス)へ乗車し「大宮」で下車。徒歩5分ほどで「ホテルいとう」に到着します。
関西国際空港から「ホテルいとう」へ
電車とバスを乗り継いで、最寄りのバス停まで約1時間かかります。関西空港駅から関西空港線 京橋行に乗車し日根野駅で下車。阪和線 紀州路 和歌山行に乗車し、和泉砂川駅で下車。砂川駅前のバス停から岩出樽井線(和歌山バス)へ乗車し「大宮」へ。徒歩5分ほどで「ホテルいとう」に到着します。
「美しいもんが1つもないだろ」万菊との再会の場面より
万菊:ここにゃ、美しいもんが1つもないだろ。なんだかホッとすんのよ。“もういいんだよ”って、やっと誰かに言ってもらったみたいでさ。あなた、どこにいたんですよ。
喜久雄(吉沢亮)が、弱り果てた姿の人間国宝・小野川万菊と再開する場面。
万菊は、喜久雄ではなく、俊介(横浜流星)の後ろ盾となり俊介の復帰に一役買いました。
劇中では詳細に描かれていませんでしたが原作では、万菊は歌舞伎界引退後、自らの地位や住まいを捨て、簡易施設に寝泊まりする生活を選びました。国宝と言えど、中身はひとりの人間であり、重責から解放された万菊の境地が垣間見えます。
映画『国宝』はAmazon Prime Videoで見放題独占配信中です!(2026年6月時点)
が、筆者としては、近くの映画館で上映されているならば、そちらを観るのがおすすめします。舞台に立っている喜久雄たちのシーンの臨場感がまるで違います。気になった方はぜひ視聴してみてください。
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