出所:Amazon商品ページ
『町田くんの世界』というマンガは、今までにないとても個性的な作品です。
別冊マーガレットで連載をしていて、コミックスも少女漫画の装丁なのですが、主人公は男子高校生だし、中身もやや男性向けなのかなという印象でした。
本当に万人に勧められる作品であるが故に、男性では手が出しづらい少女漫画の装丁なため、ややもったいないなという印象です。本棚に飾るのは恥ずかしいという方はぜひ電子書籍で購入を検討してみて欲しいです。マジで面白いので。
あらすじ
物静かでメガネ。そんな外見をは裏腹に成績は中の下。アナログ人間で不器用。なのに運動神経は見た目どおりの町田くん。得意なことが何もないと本人は思っていますが、周りからは愛されています。その理由とは…?
出所:安藤ゆき『町田くんの世界』第1巻
本作は、町田くんという男子高校生が主人公なのですが、彼は勉強も運動も苦手だけど、クラスメイトや先生、近所のママ友など、老若男女関係なく人気があるという、不思議なキャラクターです。
町田くんはとにかく「人間が好き」なので、自己犠牲を厭わず、人のためにできることなら全力を尽くします。そのため人の心をつかむのが上手く、細かいことに気づけるアンテナを持っているため、出会った人がもれなく全員町田くんのことを好きになってしまうのです。
7巻完結で、サクサク読めてしまうので、空き時間にいかがでしょうか。
町田くんから学べること
本作は、『町田くんの世界』というタイトルの通り、町田くんフィルターを通した世界を、読者は体感することができます。
人類皆家族と考えている町田くんは、あらゆる人を助けていくのですが、その徹底的な性善説に基づく独自のスタンスは、読者が生きやすくなるヒントになります。
モノサシはひとつじゃない
世界にはバカが溢れている
町田くんの弟の同級生「桐谷くん」は、とっても賢い小学生。そんな桐谷くんの姉が、アンテナ全開の町田くんに助けられて一目惚れしてしまい、変な奴と姉がくっついてしまったら困ると思い、町田一(主人公の町田くん)を見極めに行くため、町田くんの弟であるミツオの家に遊びに行くという話。
テストの点を見てバカと決めつけてしまう桐谷くんに対して、「モノサシはひとつじゃないよ」と教えてあげる町田くん。
「君はかしこいから、相手のできない部分をどうにかしてあげたいって思うんだよね」と桐谷くんの本心を自覚させてあげて、相手を不快にさせてしまう自分に友達を持つ資格なんてないと主張する桐谷くんを、生きやすい方へと導いてくれます。
学校教育の弊害と言ってもいいのですが、テストの点や学歴などで短絡的にこの人はこういう人だ、と人の評価を決めてしまいがちです。本来人間の評価はそこまで簡単にできるものではないし、モノサシなんていくらでもあるよね、ということを町田くんは教えてくれます。
徹底的な性善説
僕は悪い人間なんていないと思っています
町田くんの行動原理は、全て性善説に基づいています。
悪い人間はいない。悪い行為はあるにしても、その行為には必ず理由があって、理由や言い訳を聞かせてほしい、というのが町田くんの持論です。これにはとても納得させられました。
現代の世界というのは、基本的に性悪説で成り立っているのはご存知でしょうか。駅の改札口や、ネットのログインパスワードなど、悪い人をサービスから排除するための仕組みが整っています。
理想論に過ぎませんが、町田くんの見ている世界が実現すれば、面倒なIDもパスワードも無いような、もっと便利で生きやすい世の中になるんじゃないかなーと妄想したりしています。
まとめ:人間関係に悩んでいる全ての人に読んでほしい
恥ずかしいことを気にせずに言ってしまうなら、『町田くんの世界』を読むと必ず人に優しくなれます。人間関係が上手くいっていない人も、本作を読めば考え方次第で好転するかもしれません。
もちろん作品としても素晴らしく、休憩にはぴったりで癒されること間違いなしです。
ぜひ手にとってみてください。オススメです!
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