【感想・レビュー】『ここは今から倫理です。』は生きづらさを抱えた全ての人にオススメ

出所:Amazon商品ページ

 

ここは今から倫理です。』は、高校の倫理の授業が舞台の作品です。

 

倫理と聞くと難しそうに思えてしまいますが、生徒たちの思春期の悩みを倫理学チックに解決していく作品で、難しい話は無く非常に読みやすいです。

 

一話完結の物語で、各話ごとに生徒の悩みも違ってきて、何かしら自分にどストライクな話があると思います。

 

悩みがあり、日々の生活に少しでも生きづらさみたいなものを抱えている方なら、オススメのマンガです。

あらすじ

 

倫理は、学ばなくても将来困ることはほぼない学問です。

 

高校三年の春、選択科目として倫理を選んだ15人の生徒は、担当教師の高柳と対面する。クールな倫理教師・高柳と、悩みを抱えた生徒たちとの物語。

 

倫理という科目は、英語や数学などのように社会に出ていく上で役立つ学問ではないけど、死が近づいた時や、人間関係がうまくいかない時、「自分は何のために生きているのか」と自問自答するときなど、ひとりぼっちの時に倫理は使える、という説明がされています。

 

一話完結の物語が多く、2019年7月現在ではまだ3巻しか出ていないため、サクサクと読めてしまいます。

 

正直めちゃめちゃ面白いです。

『ここは今から倫理です。』の見所

出所:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。』第1巻

一話ごとの爽快感

本作の話の構造として、

①生徒が何かしらの生きづらさを抱え悩んでいる。
②高柳先生がそれに気づく。
③先人の教えを元に、倫理の先生という立場からアドバイス。
④生徒は生きづらさから少しずつ解放される。

 

という単純なものではあるのですが、人の悩みというのは多様でありながらも、それに対してかつての哲人たちは何かしらの答えを出しているので、毎話読者をスッキリさせてくれます。

 

一話ごとに、違う生徒と違う倫理のトピックで話が展開されていくので、飽きずに読み進めてしまいます。

 

この読了後の満足感は、ある種ちょっとした快感でもあるので、ハマってしまえば3巻という少なさは物足りないかもしれません。

 

先人たちからの教え

”なんといっても最上の証明は経験だ”

フランシス・ベーコン

個人的に好きな言葉なのですが、このように毎話先人たちの言葉が登場してきます。

 

倫理とか哲学とかって面白そうではあるのですが、本を読むのは難しいそうだし、敷居が高い気がしてしまうので、『ここは今から倫理です。』では、マンガで倫理を学ぶことができてしまいます。

 

教師対生徒という話のつくりなので、授業を受けている感覚になり、わかりやすく頭の中に入っていきます。

 

巻末のおまけマンガでは、筆者のことについて書かれているのですが、やはり相当勉強されているようで、その努力の結晶がわかりやすいマンガとして読めてしまうのは、とてもお得に感じてしまいます。

 

特に面白い話

#2 くだらない人間(1巻)

この学校にはくだらない人間しかいない

大抵の事は本を読めばわかるのよ

 

高校三年生にしてこのように悟ってしまった酒井美由紀と、明るく元気で、美由紀にバカ女と思われている八木まりあの話。

 

あることがきっかけで、八木まりあは屋上から飛び降りようとしてしまうのですが、その時に止めに入る高柳先生の言葉がたまらなく突き刺さりました。

恋に破れても… 家族が死んでも いじめられても 就職に失敗しても 仕事がイヤでも お金がなくても 人生が…退屈でも!!

それがどんな理由でも命に換わる程思い絶望になるんです!!

あの網の向こうに行く為にどれほどの覚悟が必要な事か…

 

大抵の先生ならこういったシーンでは、生きてりゃきっといいことあるとか、なんとかなるとか、表層的なことをいってしまいがちなのですが、このマンガはそこらのマンガとは違うなと感じさせてくれるシーンでした。

 

とにかくこの第2話だけでも読んで欲しいです。

 

#8 普通の人間(2巻)

普通であることに苦しむ山野亮太の話。埋もれたくない、目立ちたいという理由から、赤信号の道路へ飛び出して、事故に遭ってしまい入院してしまう。

 

お見舞いに高柳先生が来るのですが、飛び出してしまった動機について聞き、悩んでいる山野くんの頭の中をほぐしてくれます。

 

それによって、山野くんは高柳先生を褒めちぎるのですが、謙遜の仕方もユニークで、こちらも是非本編を読んでみてほしいです。

 

#14 主義探し(3巻)

クラスのグループチャットの通知や、わいわい群れているクラスメイトをうざがっている、個人主義の南さんの話。

 

いっそのことグループを抜け出そうかと悩んでいる南さんに、集団で群れることのメリットや、全体主義の恐ろしさなどをわかりやすく解説してくれる話でした。

 

特に心に刺さったのは、以下のセリフです。

どんな主義主張でも、最後に目指されるのは”幸福”のみ。幸福を目指さずに生きている人はこの世にいない。どんなに理不尽なことを言う人がいても…それがその人なりの、より ”幸福になる選択肢” だったのは変わらない。どうすればより多くの幸福が手に入るのか考えましょう。それが倫理です。

 

個人的な解釈ですが、「全ての行動の良し悪しは、未来の幸福につながっているのかどうか」であるのかなと思っていて、決断に迷った時には、その選択が自分にとっての、最大の幸福に繋がるのかどうかを考えれば、自然とやるべきことが見えてくるのではないかなと思いました。

 

まとめ:生きづらさを抱えている全ての人に読んでほしいマンガ

生徒の悩みを解決していくマンガであるため、明るいマンガという感じではありませんが、作品自体の完成度は非常に高いです。

 

おまけマンガに書いてあったのですが、作者は親戚のおばさんをうつ病によって亡くしてしまった経験があり、そのおばさんの日記を元にこの作品は作られているそうです。

 

どうりでこの完成度の高さか…と思いましたが、決して暗い作品ではありません。先ほど紹介したように、爽快感があり、読了後には晴れやかな気持ちになるため、何度でも読み返してしまいます。

 

何かしらの悩みや、生きづらさを抱えている人はこのマンガを読んでみることをオススメするので、気になる方は是非。

 

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