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ワカコ酒の新久千映の最新作。タカコさんという女の子と、彼女の身の回りの生活音が主役という、珍しいタイプの漫画で、生活音に注目したほっこりするような日常系の漫画です。
頭を使う必要は一切なく、日々の生活を癒してくれるような穏やかなマンガで、お仕事などで疲れている方にオススメの作品。
2019年7月時点では4巻までしか出ていないため、サクッと読めてしまいます。
あらすじ
タカコさんは人よりちょっと耳がいい
タカコさんという「人よりちょっと耳がいい」人のお話です。特殊能力というわけではなく、日常の些細な音に気づける、履歴書に書けないくらいの「ちょっと耳がいい」女の子。
レストランで働くタカコさんは、ちょっとだけ耳がいいので、声の小さいお客さんに気付けたり、他の人には気づかないことにも気づいて配慮する優しい店員さんです。
タカコさんはマンションに住んでいて、隣の部屋の生活音なども聞こえてしまうのですが、一人じゃないと感じることができるため、遠くに近くに聴こえる誰かの息づかいは、心休まるタカコさんの幸せ。
といった物語です。
楽しい音の描写
本作の主人公はタカコさんだけでなく、生活音も主役と言って過言ではなく、ジョジョの奇妙な冒険レベルで効果音が書かれています。(もちろんドドドドドとかは無いです。)
以下のような感じで、生活の中の細やかな表現から効果音が生み出されています。
・しょきしょき:きざみ海苔を切る音
・ポクンポクン:布団を叩く音
・こぽぽ:お茶を入れる音
・トパァー:ご飯を味噌汁にかけてねこまんまを作るときの音
個人的に「トパァー」は天才かと思いました。確かにねこまんまってトパァーだよなあ、と納得させられました。
音がメインの作品だけあって、擬音語がとても練られた作品で、効果音は作者の心血が注がれている部分なのかなという印象です。
人生を少しだけ豊かにしてくれる名言が多い
『タカコさん』という作品は、タカコさんが生活音から人々の息づかいを感じ取り、そこから気づきを得るといった話の構成なのですが、この気づきだったり、タカコさんの価値観というのは、非常に参考になるものばかりです。
印象に残っているのは、好きな仕事ができている親友が、仕事の愚痴をタカコさんに言ってしまうシーンで、
好きな仕事してるからって弱音吐いちゃいけないってルールなんかないよう
それを仕事にできてるってすてきなことだけど
「好きなことできてるんだから満たされてるはず」って思っちゃうと
現実とのギャップで余計しんどいってこともあるんじゃない?
どんな仕事だって楽しいばかりじゃないもの
念願叶ったんだからつらいって言えないなんておかしいよ
というセリフがありまして、こちらは個人的に本作で一番好きなセリフです。
好きな仕事をできているのにつらい。でもそれって贅沢な悩みなんじゃ?と悩んでいる親友に対して、優しいタカコさんがかけてあげた一言で、仕事を頑張っている全ての人に、この話を読んで欲しいレベルで心に突き刺さりました。
みんなが嫌なことでも、生活のために必死に頑張っている中で、自分だけ理想の環境で仕事ができているとしても、やっぱり仕事だからつらいことはあります。そんな時にはいつもこの台詞を思い出しては、心が軽くなるのでとても勇気付けられる台詞です。
この他にも、人間関係のことだったり、日常のモヤモヤすることに対しても、タカコさんは小さな気づきを読者に与えてくれるので、世界観で癒されるだけでなく、このマンガのおかげで少しだけ人生が豊かになった気がします。
まとめ:時間に追われてしまっている全ての人に読んでほしい
サインは息づかいにまぎれてるの
この作品を象徴するかのようなセリフで、こちらも個人的に気に入っています。
『タカコさん』は、時間に追われていて、ひと息つけない忙しい方にぴったりの作品です。日々が忙しいと、誰かの息づかいやそこからわかるちょっとした変化を、見落としてしまうことがあります。
話は少しそれるのですが、先日ホンマでっか!?TVで、クレームを言ってくる人が年を追うごとに「お金を返してくれ」というクレームよりも、「無駄にした時間を返してくれ」と言ったクレームが多くなってきている、というトピックを取り扱っていました。
肌感覚で、お金の価値が相対的に下がってきていて、確かに時間の価値が上がってきているなという印象です。そんなせかせかした世の中で生きている人たちにとって、この『タカコさん』という作品はひと息つけるオススメの作品です。
リラックスしたいなという時にぴったりのマンガですので、ぜひ手にとってみてください。
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